線虫と脂質の新技術
2025-08-13 01:55:31

岡山大学の新技術が線虫内部の脂質分布を可視化し医学研究に貢献

岡山大学の新たな質量分析技術



最近、国立大学法人岡山大学と甲南大学の共同研究チームは、線虫(C. elegans)を用いた革新的な質量分析イメージング手法を開発しました。この手法は、線虫の内部構造を保持しつつ、脂質分子の三次元分布を可視化することに成功しています。これは、脂質代謝や老化に関する研究を進展させる上で大きな意義を持つ技術です。

研究の背景



線虫は、その小さな体に多くの哺乳類の生理学を反映していることから、肥満や糖尿病、神経変性疾患などの研究モデルとして使用されています。これまでに、線虫を使った研究は世界中で進められてきましたが、脂質分布を三次元的に視覚化する技術はほとんど存在していませんでした。そこで岡山大学の研究チームは、この新たな手法を用いてその問題に挑戦したのです。

技術の概要



新たに開発された質量分析イメージング手法では、連続した10µmの切片を作成し、その位置を正確に合わせることで、脂質の器官ごとの分布を明らかにすることが可能になりました。この技術により、研究者たちは線虫体内で脂質がどのように分布しているかを詳細に観察できることとなりました。さらに、質量分析と染色法を組み合わせることで、より正確な脂質分布の確認が行えたのです。

医療研究への期待



この研究成果は、脂質代謝の理解を深め、さまざまな疾患に関連する脂質の動態を追跡する新たな手法を提供します。このことは、病気の早期診断や新たな創薬に向けたバイオマーカーの探索に寄与することが期待されています。また、老化やストレス、栄養状態の変化に伴う生体の反応を解析できる可能性も啓発しています。

今後の展望



研究チームは、この技術をさらに発展させることで、医療や創薬だけでなく、環境科学など幅広い分野への応用を目指しています。藤原正澄教授は、「この技術がもたらす新たな視点に期待しています」と語りました。また、大学院生のサラ・マンディッチさんも、「開発した手法を応用することで、今後更に素晴らしい成果を出すことができると信じています」と述べており、研究の進展に対して高い期待感を示しています。

まとめ



岡山大学の研究による線虫における脂質分布の可視化は、単なる手法の革新に留まらず、医学研究や創薬、さらには基礎研究における新たな扉を開くものです。この成果は、2025年7月に「Scientific Reports」に掲載され、世界中の研究者から注目を集めています。今後も岡山大学の成果が、地域社会や医学界に貢献していくことを期待したいです。


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