環境省のゼロ回答とどうぶつ基金の疑念
2025年4月22日、兵庫県芦屋市に本部を置く公益財団法人どうぶつ基金は、環境省が推進する「奄美大島におけるノネコ管理計画」に対し、環境大臣宛てに公開質問状を提出しました。これは、数千匹のノネコを捕獲し、殺処分するという方針の科学的根拠に対する疑問を示したものです。
公開質問状の提出理由
ノネコ管理計画は、非常に重要な政策であるため、その科学的根拠は特に重視されます。どうぶつ基金は、この政策の基礎を成す研究に対し、具体的な疑問を投げかけ、感情的ではなく、明確で理にかなった問いかけを行いました。これは、国民の命に直接関わる問題であり、真摯に受け止められるべきでした。
しかし、返ってきたのは、あまりにも薄い内容の“ゼロ回答”でした。環境省は「対象論文は査読を経た学術論文であり、具体的な指摘には応じられない」とし、計画全体についても「複数の論文を参考にした」と述べるにとどまり、どの研究がどのように評価されたかの説明は一切ありませんでした。
ゼロ回答に対する失望
このような回答が返ってきたことに、どうぶつ基金は失望を隠せませんでした。国の予算を使い、命を左右する政策が実施されているため、疑問の声には真摯に応じる責任があるはずです。科学的な質問に対する誠実な回答は、開かれた民主主義社会の基本であるはずです。
「順応的に管理を進める」との姿勢ですが、根拠が正確でなければ、管理の意味は薄れてしまいます。指摘された疑問に正面から向き合うことが、まず求められるのではないでしょうか。このような姿勢は、科学をおろそかにし、政府への信頼を損ねるものです。
都市と自然の共存を目指すために、どうぶつ基金は今後も追及を続けていく意向を示しています。また、国民一人ひとりが、科学と誠実さに基づいた政策決定のあり方について再考することを願っています。
どうぶつ基金の活動
公益財団法人どうぶつ基金は、1988年に設立された動物愛護団体で、全ての活動資金は民間からの寄付によって賄われています。主な活動内容には、飼い主のいない猫の無料不妊手術「さくらねこTNR」、多頭飼育崩壊の犬・猫の不妊手術支援、里親探し、啓発活動などが含まれています。特に「さくらねこTNR」は、飼い主のいない猫の繁殖を防ぐために行われている効率的かつ人道的な手法で、世界中で広く採用されています。
どうぶつ基金 ちきゅう部の使命
どうぶつ基金の「ちきゅう部」は、「いのちとちきゅうをつなげる視点で社会を見直す」をモットーに、動物や環境問題への根本的な分析と提案を行っています。システム的な視点から問題を捉え、政策への具体的な提言を行うことがその役割です。
このような活動を通じて、どうぶつ基金は、科学に基づいた確かな政策決定を求める姿勢を持ち続けています。環境省が提示された疑問に対して、真摯に向き合うことを期待しています。