2025年の健康経営動向を振り返り、2026年への道筋を探る
心幸ホールディングス株式会社が、2025年の健康経営と企業向け健康支援業界のトレンドを総括し、2026年に向けた展望を発表しました。これにより、日本国内における健康経営の現状や課題について、具体的なデータも交えて解説していきます。
日本の健康経営の現状
健康経営の取り組みは徐々に普及しており、経済産業省による統計では、2025年度には大規模法人部門で3,400法人、中小規模法人部門では19,796法人が「健康経営優良法人」として認定されています。これは、制度や評価フレームワークが広まっていることを示しています。しかし、小規模事業所においてはストレスチェックの未実施が高い水準にあり、この傾向は変わっていません。さらには、今後の労働安全衛生法改正により、ストレスチェックの実施義務が拡大する見通しです。このため、企業は「実施だけでなく継続的に運用できているか」と問われる時代になってきています。
オンライン診療の定着
新型コロナウイルスの影響で、オンライン診療が注目されました。それが新しい生活様式として定着してきており、企業にとって「遠隔で相談できる導線」を設計することが課題になっています。これは健康支援において重要な要素であり、実務経験を重視する必要があるといえます。
2025年の総括
健康経営の運用においては、多くの企業において運用力の差が顕著化しています。
小規模事業所におけるストレスチェックの実施状況
心幸ホールディングスが実施した調査によると、従業員50人未満の小規模事業所の63.2%がストレスチェックを実施しておらず、対応策を「まだ考えられていない」という企業も見られ、準備不足が問題視されています。このような現状は、企業が実施から集計、面談へとつなげる体制を整えることが難しいため、運用の質にバラツキが生じる結果となっているのです。
健康診断後のフォローとの困難
また、健康診断後のフォローについても、プライバシーの配慮や人事負担が高い壁となっていることが調査から明らかになっています。68.5%の人事担当者が「有所見者に声を掛けるのが話しづらい」と感じ、67.4%がプライバシーへの配慮に苦慮しています。健康情報自体の取り扱いや、産業医との連携が求められることが、実務において課題となっています。
2026年の展望
振り返りながら見えてきたのは、2026年度に向けての課題と希望です。まず、ストレスチェックは「実施」を超えて「運用の質」が問われるようになります。企業の運営によるリスクが浮き彫りになる可能性が高いです。
次に、健康情報の取り扱いにおいては「透明性」が重視されます。誰が、どのように情報を管理し、各施策がどれだけ利用されるかが重要になるでしょう。企業はただ制度を満たすのではなく、従業員が安心して利用できる環境を整える必要があります。
最後に、オンライン診療は「導入」から「実際に使われる状態」へと進化すべきです。95.5%の人事担当者が、産業医による直接のオンライン相談を必要と考えており、制度設計をより実践的なものにする必要があります。
結論
健康経営はただの体裁ではなく、実際に従業員の健康向上と勤怠改善に寄与するものでなければなりません。心幸ホールディングスは、企業が従業員の健康意識を高められるよう、今後とも無理の少ない健康経営の実装を支援していく所存です。今を見直し、真の健康経営を実現するための第一歩を踏み出すことが求められています。