近年、住宅建設において革新的な技術として注目を集めている3Dプリンティング。特に、セレンディクス株式会社が手がける3Dプリンター住宅は、日本初の試みとして様々な期待が寄せられています。この企業は、東京大学の協力のもと、耐力壁の構造性能を確認する加力実験を行いました。
研究の背景と意義
セレンディクスは、2018年に設立後、独自の3Dプリント技術を駆使して、従来の建材に代わるモルタル製部材を開発してきました。しかし、現行の建築基準法では、これらの部材は「非構造材」として扱われてしまいます。このような中、3Dプリンター建築のモルタルを構造体として活用することで、建設コストと工期の大幅な短縮を見込むことが可能になります。そのためには、まず科学的にその構造性能を明らかにする必要があります。
今回の実験はそうした目的の一環であり、2027年度に実施予定の実物大実験へのデータ強化を目指しています。
実験体制と内容
実験は、東京大学生産技術研究所の協力を得て行われました。使用されたのは、6種類の耐力壁試験体です。各試験体は異なる材料や形状から構成され、横方向からの力を加えられました。これにより、それぞれの構造性能を検証することが目的です。
特に、独自の曲面を形成できる3Dプリンター技術を活かし、鉄筋に代わる引張材として、ガラス繊維や炭素繊維も検討対象となりました。試験体Aでは鉄筋を使用し、試験体B、C、Dではそれぞれ異なる素材で引張力を付加しています。
実験結果の考察
実験結果は全体を通じて興味深いものでした。多くの試験体において、ひび割れが見られましたが、驚くほどの耐力低下は観察されず、強い復元力が確認されました。これは、3Dプリンター住宅が今後の建設において非常に有望な選択肢となる可能性を示しています。
未来への展望
セレンディクスは、実験から得られたデータを元に、さらに進んだ実験を2027年を目指して計画しています。このようにして、3Dプリンター住宅の断層効果や耐震性能を実証し、国土交通大臣の認可を取得することを目指します。目的は、「型枠」としてだけでなく、実際の構造体として認定を受けることです。
メッセージ
セレンディクス株式会社のCTO、飯田國大氏はこの実験の意義をこう語ります。「日本は地震大国として知られ、厳しい耐震基準を持っています。多様な補強材での耐力検証は3Dプリンター建築の新たな道を開くものです。安全で手頃な住環境を提供していきたい。」
今回の実験が、国内外でのさらなる展開につながることが期待されます。次世代の住宅建設の実現に向けたセレンディクスの挑戦は、今後も目が離せない存在となるでしょう。