神戸の認知症支援
2025-09-01 16:11:40

認知症の人に優しいまちを目指す神戸の取り組み

認知症の人に優しいまちを目指す神戸の取り組み



9月は認知症月間であり、9月21日は「世界アルツハイマーデー」です。超高齢化社会が進む日本では、認知症が大きな課題となっています。神戸市はこの状況を受け、2019年から「認知症神戸モデル」という全国初の取り組みをスタートさせました。このモデルは、認知症の人やその家族が安全で安心な生活を送るための支援を含んでいます。

認知症問題の現状



国の調査によると、65歳以上の高齢者の約28%が認知症または軽度認知障害(MCI)を患っていると推計されています。認知症は加齢による疾患であり、多くの場合本人や家族が気付くのが遅れやすい病気でもあります。そのため、早期受診や早期発見が非常に重要です。

「認知症神戸モデル」の概要



「認知症神戸モデル」は、以下の2つの柱で構成されています。

1. 診断助成制度
65歳以上の高齢者が、医療機関での2段階の認知症診断を自己負担ゼロで受けられる制度です。これにより、早期発見が可能となり、症状が軽いうちに適切な生活策を講じることができます。

2. 事故救済制度
認知症の方が事故を起こした際に提供されるサポートです。具体的には賠償責任保険や見舞金、専用コールセンター、GPSサービス、みまもりシールなどがあります。

具体的な取り組み



1. 診断助成制度の詳細



この制度により、登録された65歳以上の高齢者は、医療機関での初期の認知機能検診から精密検査までを自己負担ゼロで受けることができます。これまでに約9.1万人の方が第1段階を受診し、要精密検査と判断された場合には第2段階の診断が行われます。また、2024年からは新薬の投薬可否を診断する検査費用への助成も行われる予定です。

2. 事故救済制度の「5つの安心」



「事故救済制度」では、認知症の方が事故を起こした場合に、以下の5つのサービスを提供しています。これにより、事故が発生した際の安心感を高めています。

  • - 賠償責任保険
認知症の方が事前登録を行うと、市が費用を負担し賠償責任保険に加入します。万が一の事故で最高2億円の保険金が支給される仕組みです。
  • - 見舞金(給付金)
認知症の方が起こした事故で被害に遭った方には、市が最高3,000万円の見舞金を支給します。事前登録は不要で、市民全員が対象です。
  • - 専用コールセンター
事故が起こった際には、24時間対応のコールセンターがサポートします。
  • - GPSサービス
認知症の方が行方不明にならないよう、GPS端末を貸し出し、行方不明時には早期に発見するためのサポートを行います。
  • - みまもりシール
2025年から衣服やかばんに貼ることが可能な「みまもりシール」を無料配布し、行方不明時の迅速な身元確認を図ります。

財源の確保



これらの取り組みを実現するためには、年間約3億円が必要です。そのため、個人市民税均等割に上乗せした超過課税を導入し、1人あたり年間400円の負担で支援を行っています。これは社会全体で認知症問題を解決していくための重要な試みです。

灯りをともす、オレンジの光



毎年、9月21日の「世界アルツハイマーデー」には、認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色のライトアップが行われます。神戸市内のハーバーランド大観覧車や明石海峡大橋など、合計17の施設がオレンジの光に包まれ、人々に認知症についての理解を促進しています。

結びに



神戸市は、子育て支援にも力を入れつつ、誰もが笑顔で安心して暮らせるまちづくりに引き続き取り組んでいきます。これからも認知症の人にやさしいまちとして、地域全体で支え合う社会の実現を目指しています。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

関連リンク

サードペディア百科事典: 神戸市 認知症 早期受診

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。