兵庫県西宮市に本社を置く古野電気株式会社が、令和7年度近畿地方発明表彰において、特許庁長官賞と実施功績賞の2つの賞を受賞しました。この受賞は、同社の特許技術に基づく「水中探知装置」に関するもので、特に水中での魚群を詳細に把握する技術が評価されました。
この水中探知装置は、3次元的な探知を行い、探知された魚群の情報を任意の断面エコーデータとして表示することが可能になっています。従来の技術では、魚群の情報が視覚化されるものの、内部の魚の分布状況を詳細に理解するのが難しいという課題がありましたが、本装置はその問題を解決したのです。
具体的には、超音波を用いて水中の魚群のエコーデータを収集し、海面に垂直および平行な各種平面からの断面エコー画像を表示することが可能です。これにより、魚群の内部構造を視覚的に詳細に把握できるようになり、漁業の実践においても安全性が向上します。例えば、捕獲の際に魚量が多すぎる場合には、網を巻くことが危険であるといった判断が容易に行えるようになります。この新しい技術は漁業作業者にとって、命を守る重要なツールとなるでしょう。
受賞者には、開発を担当した音響機器開発課の葛原一浩グループ長、西坂政浩、山﨑勇輝の3名、及び代表取締役社長の古野幸男が実施功績賞を授与されています。そんな古野電気は1948年に世界で初めて魚群探知機を実用化した実績を持ち、以降も多くの革新技術を開発してきました。現在では、世界90か国以上で舶用電子機器の販売を展開しており、業界のリーダー的存在となっています。
今後も古野電気は、「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」を事業ビジョンとして掲げ、持続可能な技術革新に努めていく方針です。近畿地方発明表彰の受賞を通じて、新たな技術の可能性や、地域における発明の重要性を再認識できる機会となりました。受賞技術についての詳細は、公益社団法人発明協会の公式サイトにも掲載されています。
このように、古野電気の革新技術は地域社会だけでなく、広く農業や漁業、さらには環境問題に対するアプローチにも貢献しています。技術を通じた地域社会への貢献を今後も期待したいものです。