古野電気が新ファームウェアを発表
兵庫県西宮市に本社を構える古野電気株式会社が、時刻同期用GNSS受信機「型式:GT-100」「型式:GT-90」「型式:GT-9001」シリーズの新ファームウェアを発表しました。この新しいファームウェアには、認証機能とジャミング・スプーフィング対策が搭載され、重要な社会基盤を支えるGNSS技術の安全性が大幅に向上しました。
新たに追加された認証機能
このファームウェアの大きな特徴は、Galileo(ヨーロッパのGNSS)とQZSS(日本の準天頂衛星システム)から送信される認証メッセージを活用し、航法メッセージの真正性を確認できる点です。これにより、スプーフィング攻撃に対する耐性が加わり、より強固な安全性を確保します。スプーフィングというのは、悪意のある者が不正にGNSS信号を模倣して混乱を招く行為ですが、この新機能により、そのリスクが軽減されます。
ジャミング・スプーフィング対策の強化
加えて、ジャミング・スプーフィングに対する対策も大幅に強化されています。受信機は、多様な妨害信号を高精度で検出・排除し、安定した時刻同期を実現するための新機能を搭載しています。この機能は、通信や金融、電力などの重要なインフラにおいて、安定したサービスを維持するために特に重要です。
利用の幅が広がる新機能
さらに、高度制限の撤廃により、成層圏などでの利用が拡大され、新たな応用可能性が生まれています。新たなTAI時刻出力機能の追加や、様々なデータフォーマットへの対応(RTCM10403.3、RINEX4.1、バイナリ)も行われており、より多くのニーズに応える製品に進化しています。
既存ユーザーへの提供
既存のユーザーには、ファームウェアのアップデートとしてこれらの新機能が提供され、新規購入者向けの「型式:GT-100」「型式:GT-90」「型式:GT-9001」のモデルは、2026年3月から出荷が開始される予定です。このように、古野電気は常に技術の進歩を追求し、新しい挑戦に取り組んでいます。
GNSS受信機用サージプロテクターの提供
また、GNSS受信機を雷や過電流から保護するための同軸サージプロテクター「型式:TVA-05V」も新たに提供が始まりました。この製品は、大切なアプリケーションを守るための追加の防護手段となります。
世界最大のGNSSテストイベント「ジャマーテスト」
古野電気は、ノルウェーで開催される世界最大のGNSS耐性試験「ジャマーテスト」にも参加しています。このイベントでは、実際の攻撃環境下でのテストが行われており、2024年には「型式:GT-100」を用いた課題抽出が行われる予定です。
結び
古野電気は、常に「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」というビジョンのもと、時刻同期技術のさらなる向上と信頼性の強化に努めています。これにより、重要インフラを支える技術基盤として、国内外での信頼性と安定性を確保し、業界の発展に寄与しています。今後も進化し続ける古野電気の技術に目が離せません。