三菱重工が導入した新しい電動振動台
三菱重工機械システム株式会社(MHI-MS)は、茨城県つくば市に位置する国立研究開発法人建築研究所向けに地震の揺れを再現できる振動台の更新工事を終え、正式に引き渡しました。従来の油圧式に代わり、最新の電動式を採用したことで、エネルギー消費の大幅な削減と性能の向上を実現しています。
電動振動台の背景と目的
建築研究所は、国土交通大臣から指示された中長期目標を実現するため、様々な技術の開発や研究に取り組んでいます。今回の更新工事で完成した振動台は、建築物の耐震性を評価するための重要な試験装置であり、実際の地震を再現した揺れを加えることで、建物の安全性を科学的に裏付けます。これにより、研究成果は建築物の耐震設計や技術基準の策定に活用され、より安全な社会の実現に寄与します。
省エネと高性能を両立させた電動式振動台
今回の振動台の最も大きな特徴は、従来の油圧サーボ方式を廃止し、最新の電動サーボモーターを搬入した点です。近年の技術革新により、電動サーボモーターの出力が飛躍的に向上し、大きな負荷にも耐えられるようになりました。総数10台のサーボモーターを利用し、ボールネジ機構を採用することで、一方向への水平運動を効果的に実現しています。この新設計により、実験模型に実際の地震と同様の揺れを与えることが可能になりました。
環境と安全性への配慮
この振動台の電動化によって、油圧装置や動力源が不要になり、消費電力は以前に比べておおよそ90%減少する見込みです。これにより、エネルギー効率の大幅な改善が期待されています。また、油漏れのリスクがないため、清潔な環境が保たれ、実験の信頼性も向上します。
大型化された実験テーブル
実験模型を設置するテーブルもサイズが拡大され、3m×4mから3.5m×4.5mへと進化しました。これにより、搭載できる実験模型の質量も20トンから30トンに増加し、より大規模な試験が可能となっています。また、移動ストロークも伸長され、揺れの速度も向上しており、より多様な試験条件を設定できるようになりました。
今後の展望
MHI-MSはこれまでにも研究機関向けに多くの振動試験装置を提供しており、今後もこの電動振動台を商品ラインアップに加えることで、顧客の多様なニーズに応えつつ、防災技術の向上に貢献していく方針です。振動台の性能向上は、地震対策や建造物の安全性に直接つながるため、社会全体に対して大きな影響を与えることが期待されています。
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