脱炭素社会に向けた新たな取り組み
環境問題が深刻化する中、2030年度の脱炭素社会の実現を目指した新しいプロジェクトがスタートしました。このプロジェクトは、スマートシティ企画株式会社、株式会社タクマ、東海カーボン株式会社の3社が連携し、環境省の令和7年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に採択されたものです。プロジェクト名は「炭素循環型社会の構築に向けた機能性固体炭素製造技術の開発・実証」です。
プロジェクトの背景と目的
現在、さまざまな企業や研究機関が、ごみ焼却などから排出される二酸化炭素(CO2)の回収技術の開発を進めていますが、回収したCO2の利用先が限られているという課題があります。また、カーボンナノチューブ(CNT)などの導電性カーボン材は、需要が高まっているものの、制作過程で大量のCO2を排出するという問題も抱えています。
このような背景を踏まえ、3社が協力して一般廃棄物処理の際に発生するCO2を原料として、カーボンニュートラルな導電性カーボン材を作ることを目指します。具体的には、一般廃棄物の処理に伴って生じるCO2を分離・回収し、固体炭素として製品化する技術の開発に取り組みます。
実証内容と協力体制
プロジェクトは2025年11月から2028年3月にかけて実施されます。スマートシティ企画はプロジェクト全体の管理と事業計画の立案を担当します。タクマは「固体炭素化システム」の開発に取り組み、このシステムは一般廃棄物の処理で排出されるCO2を分離・回収し、一酸化炭素に変換した後、固体炭素にするプロセスを持っています。
本システムでは、廃棄物処理過程で得られる電気や熱などのエネルギーを最大限に活用し、外部からのエネルギー供給や化石資源に頼らない運用を目指しています。加えて、東海カーボンは固体炭素を製品化する際のプロセス最適化に力を入れ、高品質かつコスト効率の良い製品開発を進めます。
未来への展望
本実証は技術開発のみならず、CO2削減の効果や経済性の検証も行う予定です。これらの結果を基にして、2030年度中にカーボンニュートラルな導電性カーボン材の市場投入を目指します。3社は連携を強化しつつ、得た成果を早急に社会に実装し、より持続可能な未来の実現に貢献していく所存です。
このプロジェクトは、地域の資源を活用し新しい形の産業を創出する重要な取り組みです。今後の進捗に注目が集まっています。