兵庫発の新たな希望、遺伝子治療開発への挑戦
近年、医療の進歩により新たな治療法が開発され続ける中、兵庫県神戸市に拠点を置く株式会社VC Gene Therapy(以下、VCGT)が極希少疾患向けの遺伝子治療に取り組んでいることをご紹介します。特に、同社が開発を進める網膜色素変性(RP)という疾患について、治療法の早期確立が期待されています。
資金調達で加速する治療開発
VCGTは、立命館ソーシャルインパクトファンドから1億円の資金を調達しました。この資金は、極希少疾患患者の方々に質の高い遺伝子治療を提供するために活用されます。これまでの治療開発は採算性を重視するあまり、なかなか進まないケースが多い中、VCGTは「患者オリエンテッド」な治療開発という理念のもと、持続可能なビジネスモデルを築くことを目指しています。
網膜色素変性とは?
網膜色素変性は、視覚細胞が徐々に変性していく遺伝性の病気で、世界中で約150万人、日本国内では約3万人の患者がいるとされています。この疾患は、症状が進行することで視力が低下し、最終的には失明のリスクを伴います。これまでに約200種類の原因となる遺伝子変異が特定されているものの、治療法はまだ確立されていません。
日本における遺伝子治療の新たな展望
最近、日本でも遺伝子補充療法「ルクスターナ®」が承認され、画期的な治療法が登場しました。しかし、この治療費が両目で約1億円という現実は、患者や医療制度にとって大きな課題を浮き彫りにしています。VCGTは、神戸市立神戸アイセンター病院との連携を図り、高品質な治療を早急に提供できる体制を整えるつもりです。
具体的な治療開発のステップ
VCGTは、ロドプシン(RHO)遺伝子に着目し、ゲノム編集技術を用いた治療開発に挑みます。他の遺伝子変異を持つ患者にも対応できるよう、迅速かつ継続的に臨床開発を進める計画です。それにより、「日本に来れば治療できるエコシステム」を構築し、すべての患者に希望をもたらすことを目指しています。
社会的課題に取り組む立命館ソーシャルインパクトファンド
立命館ソーシャルインパクトファンド(RSIF)は、社会課題の解決に挑むスタートアップを支援するために設立されました。このファンドは教育や環境、福祉など幅広い分野にわたり、立命館大学との連携を通じた取り組みを行っています。VCGTとの連携により、極希少疾患に対する遺伝子治療の開発がさらに推進されることでしょう。
一日も早い治療実現に向けて
VCGTとRSIFの代表者たちは、極希少疾患の治療開発が社会的な必要性が高い一方で、その開発には多くの資源が必要であることを理解しています。高橋政代社長は、治療を待つ患者たちのために、持続可能なビジネスモデルの成立を推進する意欲を示しています。これにより、患者にとっての光明となる取り組みが進められることを心から願っています。
新たな治療法の開発が、早期に患者さんへ届くことを期待して、この取り組みを見守りたいと思います。地域の力が結集し、医療の未来を切り開くことを期待しています。