新中島橋で進化する道路橋
兵庫県宍粟市波賀町に位置する「国道29号新中島橋」で、初めての試みとなる1車線規制のもとで「UFC道路橋床版」への取替え工事が行われました。この工事は、道路交通への影響を最小化しつつ、最新技術を駆使して進められています。
UFC道路橋床版の特徴
UFC(Ultra-high strength Fiber reinforced Concrete)道路橋床版は、鹿島建設が特別に開発した材料で、プレキャスト床版に2方向のPC鋼材を配置し、高いプレストレスを与えています。そのため、通常の床版と比べて薄肉かつ軽量であり、優れた耐久性を誇ります。このような特性により、工事の効率が大幅に向上し、施工の難易度も低減されるのです。
具体的な特徴には、以下が含まれます。
- - 薄肉化が実現されているため、道路の高さ調整が不要
- - 軽量性により、揚重機の小型化が可能で、狭い場所でも施工が容易
- - 鋼桁の補強を最小限に留められ、橋脚への負担を軽減
- - 高耐久性が確保されているため、メンテナンスがしやすく、維持管理コストが低減
工事の工程と成果
この工事は、国土交通省が推進する「新技術導入促進計画」の一環として実施されました。施工は2期に分かれて行われ、上り線と下り線それぞれの床版が順次取替えられました。特に、新技術として開発されたVFC(Very high strength Fiber reinforced Cementitious composites)を用い、冬季の厳しい低温環境でも早期に強度が得られるよう工夫されています。これにより、通行止めの期間を最短に抑えることができました。
工事の概要は次の通りです。
- - 工事名称: 国道29号新中島橋補修工事
- - 工事場所: 兵庫県宍粟市波賀町小野地先
- - 発注者: 国土交通省近畿地方整備局姫路河川国道事務所
- - 施工者: 鹿島建設株式会社
- - 工期: 2024年2月から2025年3月まで
今後の展望
鹿島建設は、今回の工事で得られた知見を活かし、UFC道路橋床版を用いた取替え工事の導入拡大に努めていく方針です。地域の交通インフラの維持向上を図るだけでなく、将来的には全国各地での導入を目指してさらなる技術進化を続けることでしょう。
このように、新中島橋の工事は、次世代の道路インフラを支える重要なステップとなっています。今後も注目が集まる事業です。