日本金属、新たなウイスキー樽用バンド材の製造・販売を開始
日本金属株式会社(東京・港区)は、ウィズワン社(大阪・中央区)との共同開発によって、ウイスキー貯蔵用のバンド材(帯鉄)の製造と販売を開始したことを発表しました。この製品は、特に国内ウイスキー業界にとって重要な進展を意味しています。
1. 本製品開発の背景
ウィズワン社は、兵庫県養父市にて新たに養父蒸溜所を立ち上げ、2023年からウイスキーの製造を開始しました。この流れの中で、ウィズワン社は貯蔵用樽のリメイクを自社で実施したいと考えており、特に樽を締めるバンド材の国産調達を強く希望していました。しかし樽の形状に合わせたリング状の加工は、特に困難であり、多くの国内メーカーが対応できない状況にありました。
2. 日本金属による課題解決
そんな中、日本金属は福島工場において、長年の経験を持つ熟練技術者が科学技術を駆使してこの難題に挑みました。日本金属の福島工場は、精密異形圧延やロールフォーミングなど、多種多様な素材の加工を得意とする技術拠点です。ここでは、帯状の薄板を複数のロールで少しずつ成形し最終的な形状に仕上げるロールフォーミング技術と、金属を目的の形状に加工する異形圧延技術を組み合わせています。
この技術によって、高耐食めっき鋼板を使用しながら、樽の稜線に沿ったテーパ角を持つリングを高精度で形成することが可能となりました。約1年間の試作開発を経て、ついに量産体制を整えました。
3. 製品の特長と今後の展開
新たに開発されたバンド材は、ウイスキー貯蔵樽が持つ厳しい環境でも高い耐久性を発揮する高耐食めっき鋼板を用いています。また、日本金属の独自技術によって樽の形状にぴったりフィットする精密なリング形状が実現されています。量産開始に伴い、ウィズワン社は2025年12月からこのバンド材を使用した樽のリメイクを行う予定です。
日本金属としても、この先進的なバンド材の供給を通じてウイスキー業界全体の成長に貢献していく考えです。
会社概要
日本金属株式会社
日本金属では、多種多様な素材を利用した独自の加工技術を持ち、「人と地球にやさしい新たな価値を共創する」ことをビジョンに掲げています。また、顧客の多様なニーズに応えるため、2025年4月に『試作・委託加工サポート受付』を開始し、新しい共創の実現を目指しています。
養父蒸溜所
兵庫県養父市に位置するこの蒸溜所は、理想的な熟成環境と革新的な発酵技術を融合させ、長期熟成を重視した高品質のウイスキーを生産しています。
ウイスキー業界での新たな挑戦、そして日本金属の技術革新が生み出した革新的なバンド材は、ウイスキーの未来を大きく変える可能性を秘めています。今後の展開にぜひご期待ください。