健康診断結果を巡るプライバシー意識、企業は改善の余地あり
企業における健康経営の取り組みが進化する中、従業員の健康診断結果に対するプライバシー意識が浮き彫りになり、更なる改善が求められていることが明らかになりました。心幸グループが実施した調査では、企業内での健康経営推進の実態が浮き彫りになり、特に重要な問題が明らかでした。
調査の目的と概要
心幸ウェルネス株式会社は、定期健康診断を実施している企業に所属する110名の従業員を対象に、健康経営に関する実態調査を実施しました。調査では、健康診断結果を誰に知られたくないか、またその理由、理想のフォローアップ体制についての質問が行われました。
健康診断結果に対する抵抗感
最も知られたくない相手として「人事担当者」が選ばれ、その理由の多数を占めたのが「プライバシーの侵害を感じる」という点です。具体的には56.3%の人がこの理由を挙げており、従業員が健康情報の管理に対して敏感であることがわかります。これは、従業員が自分の健康状態に関する情報が不適切に扱われるのではないかと心配していることを示しています。
理想と現実のギャップ
調査では、健康診断後のフォローアップ体制について「産業医からの直接連絡」や「オンライン診療での相談」が望ましいとする意見が多く見られました。一方で、現実には人事担当者が直接関与するケースが多く、ここにギャップが生じています。従業員は「専門家の意見が直接聞ける」ことで安心感を得られることから、企業は従業員のプライバシーを尊重しながら、適切なフォローアップ体制を整備する必要があります。
オンライン相談のニーズ
さらに、64.6%の回答者が「産業医がオンラインで健康相談を直接行い、医療機関を紹介するサービスを利用したい」と答えており、その理由は「専門家の意見が直接聞けるから」というものでした。この傾向は、医療サービスのデジタル化が進む中、企業が健康に関するサービスをどのように提供していくかの方向性を示しています。
結論と今後の展望
今回の調査結果は、企業が健康経営において従業員のプライバシーに配慮することが求められていることを示しています。従業員の健康情報を守るためには、情報の取り扱いやフォローアップ体制を見直し、人事部門を通さずに産業医と直接相談できる体制を整えることが急務と言えるでしょう。企業は、安心して健康課題に向き合える環境を整えるためにも、デジタル技術を活用した新しい健康管理方法を導入することが重要です。
企業の健康経営に関しての理解を深め、従業員一人ひとりが安心して健康を管理できる取り組みが今後更に求められるでしょう。これからの健康経営の在り方が注目されます。