古野電気が全国大会で優秀賞を受賞
2025年度の人工知能学会全国大会(JSAI2025)において、古野電気株式会社が海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究による成果を発表し、全国大会優秀賞を獲得しました。
研究の概要
本研究では、海況予測に革新的なAI技術を適用することで、従来の数時間から数日を要する予測を、わずか数分で行うことを可能にしました。この技術のコアは「マルチスケール型GNN(Graph Neural Network)」に基づく海況予測モデルです。これにより、海送・漁業・防災など、様々な分野での応用が期待されています。
受賞の背景
研究の目的
海況予測は船舶の運航効率や漁業活動にとって非常に重要です。これまで、物理シミュレーションを用いる方法では多くの計算時間がかかり、実用に制限がありました。この課題を解決すべく、機械学習を活用した代理モデルの適用を模索しました。
開発されたモデルの特性
今回の研究では、格子状の海況データに加え、海表面の気象予測データをモデルに組み込むことで、気象による表層の変動も考慮しています。実際の評価では、気象予測値を用いた場合が平年値を用いた場合に比べ、特に短期の流速予測においてRMSEが18.5%も改善される結果が得られました。このことから、気象情報を活用することがモデルの効果を高める要因であることが示されました。
今後の展望
古野電気は、今後もセンシング技術や信号処理技術を駆使し、AIを融合させた新製品の開発を進めていく方針です。「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」を目指し、さらなる技術革新を目指します。
同社のCEO、古野幸男氏は「研究成果が学術的にも高く評価されたことから、我々の技術への自信が深まりました。今後も多くの分野でのサービス向上に貢献できるよう、取り組んでまいります」とのコメントを寄せています。
その他の活動
さらに、古野電気はこの受賞に限らず、AI技術を用いた高精度海況予測モデルに関する研究を国際学会で発表するなど、積極的に技術を広めていく姿勢を見せています。2025年9月にはEuropean Geosciences Union 2025での研究発表も予定されています。
古野電気の研究活動は、常に新しい技術の模索と社会への貢献を目指す姿勢を反映しています。彼らの取り組みは、今後の技術発展や社会への影響に期待が高まります。
詳細については、古野電気の公式ウェブサイトをぜひ訪れてみてください。情報の更新や新たな発表が行われています。