銀ビルストアーの70年の歩み
兵庫県姫路市に本社を置く株式会社銀ビルストアーが、2026年5月15日に創業70周年を迎えます。1956年に、ダイエーの創業者である中内功氏よりも1年早く「セルフサービス方式」を導入した同社は、日本流通史における重要なマイルストーンとなりました。今回は、銀ビルストアーの誕生から現在に至るまでの流れと、先人たちとの交流に焦点を当ててお伝えします。
ダイエーより早く始まった革新の波
1956年、経済は戦後の復興を遂げる中、姫路で生まれた銀ビルストアーは、従来の対面販売とは異なり、客自身が商品を手に取る「セルフサービス」を採用しました。この新しいスタイルは、後に全国各地のスーパーマーケットに広がることとなり、日本の流通業界に革命をもたらしました。
店舗内の顧客は、自らカゴを持ち、必要な商品を選び取ることができるという新しさ。これによって、買い物はもっと手軽に、そして楽しいものとなりました。また、すべての買い物を一か所で完結できる「ワンストップ・ショッピング」の概念も定着し、地域の買い物文化に新たな息吹をもたらしました。
偉大なる先人たちとの交流
銀ビルストアーの創業者、大塚茂木氏は、日本の流通近代化を志した中内功氏や、ライフの創業者である清水信次氏と深い関係を築いていました。特に大塚氏と中内氏は、戦争を共に生き抜いた「戦友」とも言うべき仲間であり、互いの店舗を訪れ、情報交換や意見交換を行っていました。
こうした人物同士の絆が、銀ビルストアーが今の地位を確立するうえで重要な要素となったのです。情報の共有やベストプラクティスの交換は、地方の小売店から日本全体の流通革命に波及するきっかけとなりました。
難局を乗り越えるための決断
創業当初、銀ビルストアーは多くの課題に直面しました。戦後の都市計画に伴う立ち退きや、多額の負債に苦しむ中、苦肉の策として選ばれたのが、株式会社という形態での店舗運営でした。最後の8人で携わった新たな方針は、決して楽な道ではありませんでしたが、彼らの信念が新ビジネスモデルを地域に浸透させる原動力となりました。
特に、近隣の城南小学校の生徒を対象にした金券配布キャンペーンは、次世代に新しい買い物の文化を伝承するきっかけとなり、その影響は家庭にまで拡がっていきました。「選ぶ楽しさ」を知った子どもたちが、その体験を親に伝え、地域全体がセルフサービス文化に関心を持つようになりました。
さらなる進化を目指して
現在、銀ビルストアーは創業70年を迎え、これからの100年に向けて新たな挑戦を続けています。大塚茂木氏の孫である大塚兼史社長は、強固な財務基盤を礎に、「30店舗・300億円」のビジョンを掲げています。
社内の若返りを進め、デジタル技術の導入を加速しながら、地域密着型の接客スタイルや「インストア加工」を強みとすることで、これからも地域社会に必要とされる存在であり続けることを目指しています。
70年の歴史を礎に、銀ビルストアーは未来の小売業へと向かい、地域の人々に「あってよかった」と思われる企業を志し続けるのです。