神戸の靴づくり展が阪急電車で実現
2025年12月13日、多くの人々が集まる阪急電鉄 大阪梅田駅にて、特別なイベント「でんしゃ・de・推し工房」が開催されました。これは、神戸市の靴づくりをテーマにした一日限りの展示で、神戸に本社を置く株式会社田中務補商店など、靴関連の5社が手を組んで実現しました。
特別な展示空間
この展示は、普段は経験できない電車の車内という非日常的な空間で行われました。来場者は、靴の内部構造を直接確認できる貴重な機会に恵まれ、中底や木型、シャンクといった普段は目にすることのない部材を間近で見ることができました。また、展示内容はただの物品紹介に留まらず、靴づくりの歴史や技術、こだわりを作り手が直接語りかける形式で進行され、多くの来場者から大きな関心を集めました。
共同の取り組み
今回、神戸の靴産業に関わる5社が一堂に出展したのは初の試みです。各社は、木型製造や中底製造、シャンク製造など異なる部門を担い、それぞれの専門性を持ち寄ることで「神戸ならではの靴づくり」を表現しました。この共同展示の準備には、熟練の靴職人のもとでの取材や、靴にまつわる人々の貴重な話を聞くことで、人の営みとしての靴づくりの魅力を伝えようと努めました。
展示の一部では、電車の荷物棚を活用して靴部材を吊るして展示し、実際にオーダーメイドの靴がどのように製造されるかを来場者が体験できる工夫が施されました。来場者は作り手と直接会話し、自らの疑問を解決できる貴重な機会に恵まれました。
神戸の靴づくりの歴史を学べるコーナー
展示には、神戸の靴づくりの歴史を感じられる「歴史コーナー」も設けられていました。展示は「開港」「長田工房」「ケミカルシューズ」「デザイナーズ」「神戸シューズ」と名付けられた駅に見立て、年代別のパネルで靴づくりの進化を示しました。ジオラマ風の演出が施され、訪問者は電車の旅をしながら歴史を追体験することができました。このように、神戸の靴産業の重要な時代ごとの変遷が丁寧に解説されていました。
また、来場者には神戸靴新聞の特別号が配られ、靴づくりの面白さや背景を楽しく学ぶ材料が提供されました。約200部が用意され、すぐに配布終了となるほどの人気を誇りました。
来場者の声
展示を訪れた方々は「電車の中でこんなに面白い展示が見られるとは思わなかった」「靴の中身について詳しく学べてよかった」といった声を寄せ、対面での交流が新たな発見につながったことが伺えました。また、電車の発着に伴い、展示に立ち寄る通行人も多く、思わぬタイミングで神戸の靴づくりに触れることができたようです。
子供たちはジオラマの展示に目を輝かせ、関連グッズが当たるガチャにも夢中でした。大人たちは製造過程や歴史パネルをじっくり読み込みながら職人との会話を楽しむ姿が見受けられ、世代を超えた楽しみが広がるイベントとなりました。
まとめ
今回の展示は、神戸の靴づくりを新たな視点から体験できる貴重な機会でした。普段は目にしない靴の魅力を掘り下げることで、より多くの人々に神戸の靴づくりの素晴らしさを伝えるきっかけを作ることができました。今後も、神戸の靴産業の魅力を広める活動を引き続き行っていく予定です。