凪良ゆうが描くゴッホの世界—新作短編と大ゴッホ展の魅力
神戸市立博物館にて開催中の「阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス」は、2026年2月1日までの長期に渡り、ゴッホの多彩な作品を展示しています。この展覧会では、オランダのクレラー=ミュラー美術館から提供された約60点の作品が紹介され、訪問者はゴッホの独特な世界観を体感することができます。特に《夜のカフェテラス》や《自画像》など、彼の特徴的な筆致と色彩に触れることができます。
この展覧会の特筆すべき点は、作家の凪良ゆうさんがゴッホの作品を題材にした新作短編小説を執筆したことです。彼女は2007年にデビューし、BLジャンルでの成功を収めながら、先の「流浪の月」で本屋大賞を受賞するなど、注目の作家として知られています。2023年には再度本屋大賞を受賞し、その影響力はますます大きくなっています。
新作小説のタイトルは、「夏の終わり」と「展覧会の猫」。これらの物語はそれぞれ、《夜のカフェテラス》と《自画像》というゴッホの名作からインスパイアされています。「夏の終わり」では、父娘の絆を描き、鑑賞することによって家族の大切さを再認識する一幕が描かれています。若い画学生に目を向ける父の目線を通し、展覧会が生み出す温かい雰囲気を感じさせてくれます。
一方、「展覧会の猫」は、静まりかえった展示室に迷い込んだ一匹の猫が、展覧会の不思議な一面を魅せる物語です。猫の視点から描かれることで、鑑賞者自身もまた一種の無垢な目で展覧会を体験するこことができるのです。
新作短編は、11月15日付の産経新聞に掲載され、「夜のカフェテラス」と「自画像」の展覧会内パネルでも読むことができるので、訪問者はぜひ両方の世界観を楽しんでほしいと思います。
展覧会についての詳細
神戸市立博物館で開かれているこの大ゴッホ展は、特に歴史的な背景を持つ場所で行われています。本展は、阪神・淡路大震災からの復興の象徴とも位置付けられており、文化的な財産としての美術作品の重要性を再認識させます。展示作品はすべて、ゴッホが生涯を通じてどのように感じ、表現してきたのかを見せてくれます。また、絵画だけでなく、ゴッホと同時代の印象派の作品も楽しむことができ、幅広い芸術的視点を提供します。
開催日時は、2025年9月20日から2026年2月1日までで、特に土日祝日は事前予約が推奨されているため、訪問予定の方は注意が必要です。入場料は一般が2500円、大学生1250円で、高校生以下が無料となるなど、学生に優しい料金設定がされています。また、65歳以上の市民や障害者の方には割引が適用されるため、地域の皆様もぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
この機会に、凪良ゆうの新しい物語とともに、ゴッホの生きた証を感じることができる展覧会に足を運び、自分自身のアートに対する感受性を豊かにしてみてください。神戸の魅力を再発見する絶好のチャンスです。公式サイトもぜひチェックしてみてください。