歴史ある一庫炭の窯出しが始まる!黒川地区の伝統技術に迫る
兵庫県川西市北部の黒川地区では、特産品として知られる「一庫炭」や「菊炭」の窯出し作業が本格的にスタートしました。室町時代から続くこの伝統を守っているのは、54歳の炭焼農家・今西学さんです。彼は、貴重な炭焼きの技術を次世代へと引き継ぐ役割を担っています。
黒川地区の炭焼きの歴史
黒川地区は、質の良いクヌギが豊富に揃っているため、古くから炭焼きが行われてきました。しかし、昭和30年代ごろから電気やガスの普及により、炭の需要は減少し、さらに宅地開発の進展に伴い、原木の確保が難しくなりました。現在、この伝統的な炭焼きを続けているのは、今西さんの家族だけです。
菊炭の特性
黒川で製造される炭は、その断面が菊の花のように見えることから「菊炭」と称されています。菊炭は、火づきが良く、長時間燃焼する能力を持つだけでなく、煙が出にくいという特性から、特に茶席で使用される高級炭として評価されています。このため、炭焼きはむしろ厳選された方法で行われ、細心の注意が払われているのです。
窯焼きの工程と窯出し作業
窯焼きのプロセスは、「窯入れ」から始まります。原木を窯に運び入れ、たまご型の窯に隙間なく立てて並べられます。そして天井付近に雑木を詰めて均等に配置することで、炭化が進みやすくなります。これで窯の中は、静かに炭へと変わる準備が整います。
窯出し作業は朝7時頃にスタートし、内部温度が100~120℃に達した窯の中で行われます。窯内では約15分間で作業を進め、取り出した炭は外に運び出されます。作業中には休憩を挟みつつ、慎重に煙がほとんど出ない炭を取り出します。
今回の窯入れで使用された原木は約6トン。1回の炭焼きで生産される菊炭は約750キロに上ります。この作業は4月末頃まで続く予定です。
伝統を守る今西さんの思い
今西さんは、この地域の環境や伝統を大切にしながら、次世代へとこの技術を伝えていくことに情熱を注いでいます。菊炭はただの燃料ではなく、文化や歴史の一部でもあります。彼の取り組みを通じて、今後も地域の炭焼きが存続していくことを願っています。
この貴重な伝統技術が受け継がれることを期待しつつ、黒川地区の一庫炭の窯出し作業をぜひ見に訪れてみてはいかがでしょうか。歴史を感じつつ、次世代へと続く一庫炭の魅力に触れることができます。