古野電気、最新技術を活用した林業機械の遠隔操作プロジェクトに着手
古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市)が、2023年9月より総務省の「令和7年度地域社会DX推進パッケージ事業」として、「Wi-Fi HaLow™、Starlinkを駆使した林業機械の遠隔操作化」の実証事業を開始します。このプロジェクトは、昨年度に続き2年連続での採択となっています。
1. 実証事業の背景と目的
徳島県那賀町では、森林が95%を占めており、地域の基幹産業である林業が抱える問題として、「林業従事者の不足」、「通信エリアの拡充」、「林業現場での災害リスク」が挙げられます。古野電気は、これらの課題解決を目指し、地域社会のデジタル化を進めるため、この実証事業を開始しました。
2. プロジェクトの概要
実証事業では、主に二つの取り組みが行われます。まず、Wi-Fi HaLow™技術を利用して、林業機械(架線式グラップル)の遠隔操作を実現します。これまでの操作方法では、急勾配の土地で作業員が木材の近くでリモコンで操作する必要がありましたが、遠隔操作により安全性が向上し、作業の省人化が期待されます。
2.1 Wi-Fi HaLow™による遠隔操作
新たに設置されるWi-Fi HaLow™のアクセスポイントおよびネットワークカメラにより、架線式グラップルを遠隔操作します。カメラ映像をモニターに表示し、操作を行うことで、高所での作業に伴う危険を軽減しつつ効率化を図ります。
2.2 通信インフラの強化
今年度の実証実験では、前年に課題として挙げられた谷部での通信強度の不安定さを克服するために、搬器へのWi-Fi HaLow™中継器の設置が行われます。搬器は空中で移動する構造を持ち、地形の影響を受けにくいため、安定した電波伝搬が可能です。
3. 使用される機器について
今回のプロジェクトでは、無線LANアクセスポイント「ACERA 331」が使用されます。Wi-Fiの新通信規格「IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow™)」に対応しており、920MHzの帯域を利用することで最大1キロメートルの長距離通信が可能。IoT環境を支える重要な基盤を構築し、画像や映像の伝送も可能です。
このように、古野電気の多様な技術が集結し、林業現場の効率化や安全性の向上を目指しています。
4. 期待される成果
この実証事業により、技術導入が進むことで林業従事者の安全性が向上し、作業効率の枠を超えた新たな働き方が生まれることが期待されます。これによって、慢性的な人手不足の解消にも貢献できるでしょう。
古野電気の取り組みは、地域の課題解決へとつながるだけでなく、他の業界への横展開も視野に入れています。林業の未来を切り拓くこのプロジェクトから目が離せません。