リチウム電池火災の増加と自治体への影響
近年、リチウムイオン電池を原因とする火災が全国的に増加しています。特に2025年には東京都内での火災件数が前年同期比で大きく増えており、モバイルバッテリーがその多くを占めています。この状況を受けて、慧通信技術工業株式会社は自治体の防災・危機管理部門向けに、ポータブル電源と大容量蓄電池の調達や保管、廃棄に関するリスクを整理した「ポータブル電源・大容量蓄電池 調達・保管リスクFAQ(2025年版)」を発表しました。
1.背景:急増する火災件数
リチウムイオン電池に関連する火災は過去数年間、顕著に増加しています。特に2025年には、東京都において9月末時点で228件の火災が発生し、前年を上回るペースで推移しています。この中で、モバイルバッテリーが火災の約3割を占めており、その利用が広がるに伴い、リスク管理が重要となっています。
また、最近では福岡県の公共施設において、災害用ポータブル電源の充電中に発火する事故も発生しており、これが発生した際には津波警報が発令されていました。この事例は、BCP(事業継続計画)の一環としての蓄電池運用リスクが想定よりも高いことを示しています。
2.現状の課題と自治体のニーズ
リチウム電池には品質のバラつきや、安価な部品を無断で使用するリスクも存在しています。特に中国からのODM(Original Design Manufacturer)に依存するサプライチェーンでは、設定された基準が全て満たされているとは限らず、実際に出荷される製品の安全性が保証されないこともあります。これにより、自治体は調達時に多くの課題に直面しているのです。
調達を行う際には、火災や事故のリスク、長期保管の安全性、廃棄・回収コストなど、複数の視点から検討する必要がありますが、実際にこれらを体系的に整理した資料は不足しています。多くの自治体担当者からは、「どの基準で判断すべきか不明」との声が挙がっていました。
3.新資料の目的と内容
今回公開された「調達・保管リスクFAQ(2025年版)」は、自治体が判断を下す際に必要な情報を中立的に整理したものです。この資料では、主に以下の要素が取り扱われています:
- - 火災や事故のリスク
- - サプライチェーンにおける問題
- - 中国の「3C認証」強化の影響
- - 防災倉庫での長期保管に関する基準
- - 2026年以降に義務化される廃棄・回収に関する情報
このFAQは特定の製品を推奨するものではなく、教育的な観点から自治体の役立つ資料として提供されています。また、FAQには「リチウムイオン電池火災が増えている理由や自治体への影響」「サプライチェーンにおける問題点」「調達時の確認項目」など、自治体が持つべき知識も詳述されています。
4.併せて公開される補足資料
さらに、慧通信技術工業は調達仕様書ドラフトとチェックリスト50項目も無償で公開します。これにより、自治体は防災やBCP用途に適した仕様書を作成したり、実際の調達における基準を見直したりすることができるようになります。特に、温度管理や区画管理の重要性に関する情報も含まれており、より安全な備蓄計画が実現できます。
最後に、リチウム電池による火災の増加は決して他人事ではありません。自治体は、この情報を基にしっかりとリスク管理に取り組む必要があります。今後の安全対策にぜひ役立てていただきたいと思います。
会社情報
- - 会社名: 慧通信技術工業株式会社
- - 所在地: 兵庫県神戸市中央区新港町8-2
- - 事業内容: オフグリッド電源、直流配電、可搬型UPSなどの設計・製造
- - 公式サイト: 訪問はこちら
この情報は、自治体や防災関係者が今後の備蓄計画や調達に伴うリスクを適切に見極め、安全を確保するために非常に重要です。