インドネシアの食農産業を変えるプロジェクト
2025年9月、東京都から「グローバルサウスGX促進プロジェクト」に採択されたなかで、株式会社SAKIGAKE JAPAN、コールドストレージ・ジャパン株式会社、株式会社パーソナルビジネスの3社が共同で進めるプロジェクトが発表されました。この事業の目的は、インドネシアの食農流通分野において、脱炭素化とサプライチェーンの強化を図ることです。
インドネシアが直面する課題
インドネシアでは、農漁村や沿岸地域において電力インフラが不安定で、冷蔵設備の約70%がディーゼル発電に依存しています。そのため、電力コストが高く、温室効果ガスの排出も深刻な問題となっています。また、冷蔵インフラの未整備により、収穫した農水産物の廃棄率は20%から40%に達しており、このことが年間約1兆円の経済的損失を引き起こしています。
日本発の統合型ソリューション
このプロジェクトでは、太陽光発電と蓄電システムを組み合わせた「オフグリッド型小型コールドストレージ」を導入します。コールドストレージ・ジャパンが特許を持つ高断熱・高効率冷却技術を基にしており、外気温が35℃から40℃の環境でも庫内温度を±1℃で保つことが可能です。また、株式会社パーソナルビジネスのIoT遠隔監視システムを導入し、高いパフォーマンスを実現します。これにより、ディーゼルジェネレーターからの電力供給を減らし、温室効果ガスの排出を削減します。
各社のコメント
SAKIGAKE JAPANの代表取締役、近藤宗俊氏は「このプロジェクトの採択を非常に光栄に思っています。私たちは、日本の技術を現地の制度設計や人材育成を含む形で提供し、持続可能な社会基盤の構築を目指します」と語っています。
コールドストレージ・ジャパンの代表取締役、後藤大悟氏は「我々のビジョンは『冷たいまま届く幸せ』を世界中に届けることです。このプロジェクトを通じて、グローバルサウスの社会課題に貢献できることを楽しみにしています」と述べました。さらに、パーソナルビジネスの担当者は「私たちは、データに基づくアプローチで、GHG削減や廃棄ロスの減少を可視化し、透明性のある運用を実現します」との意気込みを示しています。
事業計画と将来の展望
このプロジェクトは3カ年計画で実施され、初年度は現地調査と事業計画の策定が行われます。2年目にはインドネシア国内の3拠点での実証運用を開始し、3年目には事業化とASEAN他地域への展開が予定されています。助成は3年間で、約225トンのCO2排出削減を目指し、最終的には20拠点以上への拡大を計画しています。この事業の成果は、東京都内の防災拠点や食品輸送などにも応用される見込みです。
まとめ
インドネシアの食農産業の脱炭素化を目指すこのプロジェクトは、新しい技術を駆使し、現地のニーズに応える形で持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。これにより、日本の技術が国際的な社会課題の解決に貢献することが可能になるでしょう。