兵庫県姫路市、AIを活用した福祉相談窓口を開設！若者層への支援が拡充

姫路市、AIを活用した新たな福祉相談窓口を開設

兵庫県姫路市では、生成AI技術を用いた「福祉つながる相談窓口」が2023年12月1日から本格的に運用されます。この取り組みは、株式会社ZIAIが開発した傾聴AIアルゴリズムに基づいており、従来の支援体制では十分に接点を持てなかった若年層（10〜30代）のニーズに応えることを目的としています。

重層的支援体制整備事業とは

この新たな窓口は、令和3年に改正された社会福祉法に基づいて創設された「重層的支援体制整備事業」の一環です。日本全国で多くの世帯が抱える8050問題やひきこもり、ダブルケアなどの複雑な問題に対応することが求められています。この事業は、介護や子育て、障害、生活困窮といった様々な分野の支援を統合し、包括的な支援体制を構築することを目指しています。

姫路市では、令和4年度から「福祉つながる窓口」を中心に、こうした複雑なニーズに応えるための取り組みを行ってきました。

若年層へのアクセス拡大

最近の実証実験では、521件の相談が寄せられ、それらの過半数が10〜30代の利用者からのものでした。これにより、従来の窓口ではタッチポイントがなかった層へのアクセスが確認でき、福祉相談の新しい形が垣間見えました。これは、姫路市が抱える「問題があるが相談できていない」と答えた市民の約3割に対する重要な対策であると言えるでしょう。

全国的な課題と姫路市の現状

今、全国的に「どこに相談すればよいかわからない」という悩みが多く寄せられています。分野ごとに相談窓口が分かれているため、複雑な問題を抱える方々が相談を躊躇してしまう状況が続いています。姫路市が行った調査では、相談できていない市民の多くが、特に40代以上の相談が中心であり、若年層や時間外の相談ニーズには十分に応じられていないことが明らかになっています。

生成AIの導入背景

姫路市では、支援が行き届いていない人々へアプローチするための「アウトリーチ」を重視しています。このため、SNS相談や匿名での相談機能を充実させる取り組みを進めており、その一環として生成AIによる相談窓口の設置を決定しました。

令和6年の実証実験では、傾聴AIが利用者との会話を192時間行い、最終的にユーザー満足度は70％、リピート率は24％という結果を得ました。この結果からも、若年層に対する新しい接点の創出に成功したことがうかがわれます。