樹脂パーツの風合いを守る新コーティング剤
兵庫県神戸市に本社を構える石原ケミカル株式会社が、自動車向けに開発した新しいコーティング剤が話題となっています。この商品は、自動車の未塗装樹脂パーツに特化しており、その風合いや質感を損なうことなく、効果的に傷を埋めることができます。特許出願中のこの技術は、将来的に自動車業界に革命をもたらす可能性を秘めています。
開発の背景
近年、自動車の軽量化が進められ、内装や外装に樹脂パーツが多く用いられています。これに伴い、樹脂パーツは傷がつきやすく、万が一傷がついた場合には、それを補修するために交換が必要になることが多く、大きなコストがかかってしまいます。また、樹脂の表面は艶消し加工などが施されているため、補修後の質感への影響が問題とされていました。そこで、石原ケミカルでは、質感を保持しつつ優れた傷埋め性能を兼ね備えた水系コーティング剤の開発に取り組みました。
商品の特徴
仕上がり性
従来の未塗装樹脂コーティングでは、傷を埋めるだけでなく、表面を平滑にしてしまうため、光沢が強く出てしまう傾向があります。しかし、今回の新しいコーティング剤は、樹脂表面の風合いや質感を維持しながら、約0.3μmの擦り傷を埋めることができるのです。このため、一部の樹脂パーツのみを施工することも可能で、施工時間の短縮にも寄与します。
傷埋めメカニズム
このコーティング剤は、光沢が出にくい透明樹脂を使用しており、これにより風合いや質感が損なわれません。また、シリコンゴム微粒子を用いることで、光の乱反射を利用して傷を視認しにくくする設計になっています。これが特許出願中の重要な技術です。
長期的な耐候性
スーパーUVテスターを用いた試験で、約1年間の耐候性が確認されました。PP樹脂テストピースに0.3μmの傷を付け、コーティングを施した半分の部分と比較した結果、剥がれや色味の変化が見られませんでした。これにより、コーティング剤は長期間にわたってその性能を維持できることが明らかになりました。
環境に配慮した処方
このコーティング剤は水系ベースの処方を採用しており、作業者にも優しい設計です。また、施工する樹脂基材に対しても悪影響を及ぼすことはありません。
手軽な施工方法
施工方法は非常にシンプルで、拭き上げ作業は不要です。樹脂パーツの面積が0.1㎡の場合、施工に要する時間は約2分で完了します。手軽な施工が可能なため、業界のニーズにも応えられると考えられています。
今後の展望
石原ケミカルでは、この水系コーティング剤の取り扱いを自動車業界に留まらず、さまざまな業界に広げていく予定です。未塗装樹脂コーティングは市販されていますが、本製品のように質感を維持しつつ傷を埋めるものは他にはありません。今後、このコーティング剤がどのように発展していくのか、楽しみです。
お問い合わせや協業に関する情報は、石原ケミカル株式会社営業本部マーケティング部にご連絡ください。